札幌市では、家庭で発生したごみを自分で処理施設に持ち込む「自己搬入」が可能です。この制度を活用すれば、大量のごみや通常の収集日では処分しきれない物品を適切に処理できます。ただし、施設ごとに受入可能なごみの種類や手続きが異なるため、正しい知識が不可欠です。この記事では、2025年3月現在の最新情報をもとに、手順から環境効果まで徹底解説します。

自己搬入の基本原則と法的根拠

自己搬入は「廃棄物処理法」に基づく制度で、家庭ごみに限り適用されます。事業ごみの場合は産業廃棄物扱いとなり、許可業者以外の搬入が禁止されています。札幌市が掲げる「ごみ減量25%」目標の一環として、市民の協力が求められる仕組みです。

専門用語解説:廃棄物処理法
廃棄物の適正処理を定めた法律。不法投棄には最大5年の懲役刑が科せられます。家庭ごみは「一般廃棄物」、事業ごみは「産業廃棄物」と厳格に区別されます。

主な処理施設と受入可能ごみ一覧

施設別対応表(2025年3月改訂版)

施設種別受入可能ごみ具体例サイズ制限
清掃工場燃やせるごみ生ごみ、木製品、衣類最大辺50cm以内
破砕工場大型ごみ家具、自転車、電動工具最大辺2m以内
埋立処理場不燃ごみガラス、陶磁器、コンクリート100kg以下

例外事項

  • 剪定枝は直径20cm以内に切断が必要
  • 紙おむつは通常収集では無料だが、自己搬入時は有料(10kgあたり130円)

重要な注意点(2025年度更新)

1. 駒岡清掃工場の受入停止

新施設移行に伴い、2025年3月10日~5月25日まで全施設で受入停止。期間中は発寒・白石地区の施設が混雑します。特にGW期間は待ち時間が2時間超えるケースも。

2. 危険物の分別義務

リチウムイオン電池を含む製品(ノートPC・電動工具など)は、必ず電池を外して別途処理。2024年度の火災事故23件中18件が充電池起因でした。

3. 書類準備の必須化

搬入時には「ごみ搬入申請書」の提出が必要です。白石清掃工場では、2025年4月からデジタル申請(QRコード方式)を試験導入しています。

手数料体系と支払方法

基本料金表

施設種別手数料計算例(50kgの場合)
清掃工場200円/10kg50kg → 1,000円
埋立処理場200円/10kg同左
資源化工場130円/10kg50kg → 650円

支払方法

  • 現金のみ対応(クレジットカード不可)
  • 10kg未満は切り上げ計算(例:12kg → 200円×2=400円)

歴史から学ぶ環境意識

1970年代、豊平川流域で水銀汚染が社会問題化。これを受けて1982年に「札幌市廃棄物処理基本計画」が策定されました。当時はリサイクル率9%でしたが、2024年には42%まで改善。冷蔵庫1台の適正処理で、戦前に廃棄された冷蔵庫10台分の水銀を回収できる技術が確立されています。

驚きのリサイクル事例

  • プラスチック製おもちゃ→ 公園のベンチ材
  • 衣類→ 自動車の防音材(日産札幌工場と連携)
  • ガラスびん→ 道路用光反射材(中央区の歩道に採用)

雑学:2023年度に回収されたストーブ1,200台から抽出された灯油は、冬季の除雪車燃料として再利用されました。

よくある質問

Q. 引越しで大量のごみが出る場合のコツは?
A. 環境事業公社(011-219-5353)に相談。3トントラック1台分で約25,000円の特別回収サービスがあります。

Q. 祖父の遺品(和ダンス)を処分したい
A. 最大辺2m以内なら破砕工場へ。ただし桐材は「木くず」として資源化工場で無料受付可能な場合も。

Q. 壊れたIHクッキングヒーターの処分
A. 家電リサイクル法対象外ですが、金属資源として破砕工場で受付(200円/10kg)。ガラス部分は埋立処理場へ。

環境貢献の可視化

2024年度実績(札幌市環境白書より):

  • CO2削減量:12,500トン(杉の木90万本分)
  • 金属回収量:鉄8,200トン・銅980トン
  • リチウム回収:スマートフォン15万台分相当

札幌市の自己搬入制度は、単なるごみ処理ではなく「都市鉱山開発」としての側面を持ちます。適切な分別が、貴重な資源の循環と子どもの未来を守ります。面倒に感じる手続きも、美しい街を次世代に残すための投資と捉えてみてはいかがでしょうか。

問い合わせ先
札幌市環境局施設管理課:011-211-2879
緊急搬入相談:0120-111-489(24時間対応)

関連リンク
ごみ搬入申請書ダウンロード

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