札幌市では近年、ごみ収集車内での火災が多発しています。特に問題となっているのは、スプレー缶やカセットボンベの不適切な処分による事故です。この記事では、火災発生のメカニズムから具体的な対策まで、市民が知っておくべき重要な情報を解説します。
火災多発の現状と深刻さ
札幌市のごみ収集車火災は年々増加傾向にあり、2023年度には過去最多の55件を記録しました。1件の火災で約1,400万円の車両損傷が発生し、最悪の場合、作業員の命に関わる重大事故につながる危険性があります。
衝撃の事例:
2021年8月、北区で発生した火災では、収集車のテールゲートが溶接され、消火に2時間を要しました。この事故で車両は全損し、地域のごみ収集が3日間停滞する事態となりました。
火災の主な原因とメカニズム
危険物の内訳(2023年度実績)
- スプレー缶:68%(整髪料・殺虫剤など)
- カセットボンベ:22%(ガスコンロ用)
- リチウム電池:7%(小型家電内蔵)
- その他:3%
専門用語解説:
ガス抜きキャップ(中身排出機構)
スプレー缶底部にある安全装置。最後まで中身を使い切るための機構で、プッシュ式や回転式があります。日本エアゾール協会が標準化を推進しています。
新ルールのポイント(2025年3月現在)
変更点の比較表
項目 | 旧ルール(~2023年) | 新ルール(2024年~) |
---|---|---|
排出日 | 月1回指定日 | 燃やせるごみの日と同じ |
処理方法 | 穴を開けて排出 | 穴を開けずにそのまま |
包装 | 指定袋不要 | 透明/半透明袋必須 |
正しい処分手順
- 完全使用:ノズルを下に向け中身を使い切る
- 分別確認:自治体指定マーク(♹)を確認
- 安全包装:透明袋に入れ「スプレー缶」と表示
- 排出日厳守:地域の燃やせるごみ収集日に合わせる
意外な危険物と対処法
見過ごされがちな危険品
- 使い捨てカイロ:酸化発熱の恐れ(完全冷却後処分)
- リチウムイオン電池:ショートで発火(絶縁処理必須)
- 香水ボトル:アルコール揮発で引火
特殊なケースの対応
- 錆びたノズル:各清掃事務所へ持ち込み(無料処理)
- 業務用大型ボンベ:産業廃棄物として専門業者へ依頼
知って得するリサイクル雑学
スプレー缶の再生利用
回収されたスプレー缶は以下の工程で再生されます:
- 圧縮機で扁平化
- アルミとスチールに磁選別
- 溶解炉でインゴット化
- 自動車部品や建材に再利用
驚きの数値:
- 1トンのアルミ缶再生で、ボーキサイト4トンの採掘を抑制
- スプレー缶1本のリサイクルで、15分間のテレビ視聴に相当する電力を節約
市民の協力が生んだ成果
2024年度の取り組みで、火災件数が前年比38%減少。特に中央区では、住民の徹底した分別により2年連続ゼロ件を達成しています。この成果は、地域の環境意識の高まりを物語っています。
よくある質問
Q. 中身が残っているかどうかの確認方法は?
A. 缶を振って音がしないこと、ノズルを押してガスが出ないことを確認。不安な場合は各清掃事務所でチェック可能です。
Q. スプレー缶の保管方法は?
A. 直射日光を避け40℃以下で保管。車内放置は厳禁です。
Q. カセットボンベの処分で注意することは?
A. 専用の「ガス抜き器具」を使い完全排出。ホームセンターで300円程度で購入可能です。
札幌市のごみ収集車火災防止は、市民一人ひとりの意識改革が鍵を握ります。正しい知識と実践が、作業員の安全と貴重な資源を守ります。小さな心掛けが、大きな事故を未然に防ぐのです。
問い合わせ先
札幌市環境局廃棄物処理部:011-211-2879
緊急相談窓口:0120-111-489(24時間対応)
今日から実践できるエコアクションで、安全で持続可能な街づくりに参加しましょう。あなたの協力が、札幌の未来を変えます。