札幌市では、町内会やPTA、マンション管理組合などの地域住民が主体となって行う「集団資源回収」が活発です。この活動は、家庭から出る資源ごみを効率的に回収し、ごみの減量と資源の有効活用を目指す取り組みです。今回はその仕組みやメリット、参加方法を詳しく解説します。
集団資源回収とは?
地域住民が自主的に行うリサイクル活動で、紙類・びん類・金属類・布類を回収します。市民団体が回収業者と直接契約し、市は回収量に応じて団体と業者に奨励金を交付しています。この制度は、行政コストを抑えつつ、地域経済の活性化にもつながる仕組みです。
奨励金:回収量1kgあたり数円~数十円が支払われ、地域活動の資金として活用されます。2025年現在、札幌市の年間予算は約2億円に上ります。
主な回収品目と条件
紙類
- 対象:新聞、雑誌、ダンボール
- ポイント:ひもで十字に縛る。雑誌は表紙を外さずそのまま。
- 雑学:新聞1トンのリサイクルで、杉の木20本分の伐採を抑制できます。
びん類
- 対象:リターナブルびん(ビールびん、一升びん)
- 注意点:化粧品びんや油びんは不可。磨りガラスも対象外です。
- 豆知識:リターナブルびんは平均30回再利用され、1本あたりCO2を約1kg削減します。
金属類
- 対象:鍋、フライパン、アルミホイール
- 禁止品:家電製品、アルミ缶
- 再利用例:回収された金属は、新幹線の部品や建材に生まれ変わります。
布類
- 対象:シーツ、タオル、綿50%以上の衣類
- 除外品:布団、マットレス、化学繊維の衣類
- 環境効果:Tシャツ1枚のリサイクルで、約2.5kgのCO2を削減。
参加するメリット
- ごみ減量:2024年度は約5,000トンを回収(一般家庭ごみの約3%に相当)。
- 資源の有効活用:分別により再生品の品質が向上。
- 地域活性化:奨励金は町内会のイベントや防災備蓄品の購入に活用されます。
- コスト削減:民間ルートを活用することで、市の処理費用を約40%削減。
具体的な参加方法
- 地域の回収団体を検索
札幌市公式サイトで住所を入力し、回収日・場所・品目を確認。
※実施団体によって回収品目が異なるため要確認。 - 分別ルールを厳守
- 新聞と雑誌は混ぜずに分別。
- びん類は軽くすすぎ、キャップを外す。
- 金属製品は油汚れを落とす。
- 指定日に持参
地域の集会所や指定場所に、決められた時間内に提出。
知っておくべき注意点
- 危険物の禁止:スプレー缶、ライターは収集車火災の原因となるため厳禁。
- 事業ごみの扱い:オフィスのコピー用紙や飲食店の油びんは対象外。
- 新型リサイクル技術:2025年からAI分別ロボットを導入する地域も(中央区・白石区の一部)。
歴史と未来への展望
札幌のリサイクル文化は、1970年代のオイルショックを契機に広がりました。当時は「集団回収」の前身となる「廃品回収」が学校単位で実施され、戦後の資源不足を補いました。現在では、市民の約65%が何らかの形で参加しており、2030年までに回収量を2倍にする目標を掲げています。
環境へのインパクト
- CO2削減:年間約1万トン(札幌ドーム5個分の年間消費量に相当)。
- 節水効果:リサイクルによる水使用量を50%削減。
- 経済効果:回収業者との連携で、地域に年間約10億円の経済波及。
まずは一歩から始めよう
集団資源回収は、環境保護と地域コミュニティ強化を両立する優れた仕組みです。引き出しの奥に眠る不用品を「ごみ」ではなく「資源」として再生させることで、持続可能な社会づくりに参加できます。あなたの町内会が未参加の場合も、自治体窓口で立ち上げを相談可能です。
問い合わせ先
札幌市環境局資源循環課
TEL:011-211-2879
受付時間:平日8:45~17:15
小さな行動が豊平川の清流や藻岩山の緑を守ります。今日から始めるリサイクル習慣で、未来の札幌を築きましょう!