札幌市では、プラスチックごみの分別ミスによる火災事故が相次いでいます。特に問題となっているのが、リチウムイオン電池を含む家電製品の誤廃棄です。この記事では、命に関わる事故を防ぐための正しい知識と、持続可能な資源循環の仕組みを詳しく解説します。

リチウムイオン電池が引き起こす深刻な火災

最新事故事例

2023年度、札幌市内のリサイクル施設で発生した火災の68%がリチウムイオン電池起因でした。中でも衝撃的なのは、デジタルカメラ内蔵電池の発火が原因で処理施設が全焼した事例です。消火活動に3時間を要し、1億円以上の損害が発生しました。

専門用語解説
リチウムイオン電池:スマホやノートPCに使われる充電式電池。内部の化学反応で発火する危険性があり、日本では年間500件以上の関連火災が報告されています。

適切な処分方法の具体例

家電製品の種類別対応

製品タイプ処分方法注意点
モバイルバッテリー回収協力店へ膨張・変形したものは専用窓口へ
電動歯ブラシ電池取出し→本体は燃やせないごみ取り外し不可能な場合はそのまま
ロボット掃除機小型家電回収ボックス事前にデータ消去を

危険物の見分け方

  • 充電可能:コードレス掃除機、ワイヤレスイヤホン
  • 自己発光:LED懐中電灯、電子辞書
  • 振動機能:マッサージ器、電動シェーバー

プラスチック分別の基本原則

2種類のプラスチック

  1. 容器包装プラスチック(プラマーク♳付き)
    • 食品トレイ・シャンプーボトルなど
    • 透明袋で週1回収集
  2. 製品プラスチック
    • おもちゃ・バケツ・ハンガーなど
    • 指定袋に入れ週2回収集

判別のコツ
「商品そのもの」か「中身を保護するため」かで区別。例えば、歯ブラシは商品そのもの、歯磨き粉チューブは容器包装です。

驚きのリサイクル現場

選別工程の裏側

  1. 破袋機:ごみ袋を切断(時速8トン処理)
  2. 磁選別:金属部品を除去
  3. 光学選別:赤外線でプラ種を識別
  4. 手選別:最終チェック(作業員20名常駐)

雑学:札幌の選別施設では1日平均3.5トンの異物を検出。中には戦前の軍用品も混入していた記録があります。

市民が守るべき5つのルール

  1. 充電式製品は分解禁止:メーカー修理センターに相談
  2. 刃物類の厳重包装:厚紙で包み「キケン」表示
  3. 液体完全除去:化粧品容器は3回すすぎ
  4. マーク確認:リサイクルマークの有無をチェック
  5. 地域連携:町内会の回収イベントを活用

環境へのインパクト

2024年度実績(札幌市環境局調べ):

  • リチウム回収量:スマホ15万台分
  • CO2削減効果:杉の木12万本分
  • 処理費用削減:年間2億3千万円

歴史的教訓:2008年、豊平区のプラスチック選別施設で発生した大規模火災を契機に、現在の厳格な分別ルールが確立されました。

よくある疑問解決

Q. 膨らんだ電池の処分方法は?
A. 絶対に触らず、各区清掃事務所へ連絡。専門の危険物処理業者が対応します。

Q. 小型家電回収ボックスの場所は?
A. 区役所・大型商業施設など全市120か所に設置。公式アプリで最寄りを検索可能。

Q. 海外製家電の扱いは?
A. PSEマークの有無を確認。ない場合は産業廃棄物扱いとなります。

札幌市のプラスチック分別は、単なるごみ処理ではなく「命を守る技術」です。正しい知識が、作業員の安全と貴重な資源を守ります。面倒な手間こそが、持続可能な社会への架け橋。今日から実践できる小さな一歩を、ぜひ大切にしてください。

問い合わせ先
札幌市環境局リサイクル推進課:011-211-2879
緊急相談窓口:0120-111-489(24時間対応)

関連リンク
プラスチック分別ガイド動画

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