札幌市では、家庭で不要になった子ども服や絵本をリサイクルし、青少年育成活動へつなげる「福服ギフト」プログラムを実施しています。この取り組みは、ごみ削減と社会貢献を両立する画期的な仕組みです。2025年3月現在の最新情報をもとに、プログラムの全容を解説します。
プログラムの基本理念
「福服ギフト」は3R(Reduce・Reuse・Recycle)の理念に基づき、2018年から開始されました。家庭で眠っている子ども服を「資源」と捉え、青少年支援団体への寄付金に変換するシステムです。2024年度は約3.2トンの衣類を回収し、120万円の寄付を実現しました。
専門用語解説
3R:環境配慮の基本原則。リデュース(削減)・リユース(再利用)・リサイクル(再生)を指します。札幌市は2030年までにごみ排出量25%削減を目標に掲げています。
参加方法の詳細
受付拠点
- 市内107か所の児童会館(ミニ児童会館を除く)
- 代表的な施設:
- ちえりあ(西区宮の沢)
- あいの里児童会館(北区)
- 豊平児童会館(豊平区)
受付条件
項目 | 詳細 |
---|---|
対象品 | 子ども服(0~15歳サイズ)・絵本・おもちゃ |
状態 | 洗濯済み・破損なし・汚れなし |
不可品 | 下着・靴・教科書・壊れたおもちゃ |
受付時間
- 月~土曜日:9:00~17:00
- 日曜・祝日・年末年始休み
リサイクルの旅路
回収された物品は以下のプロセスで社会貢献につながります:
- 仕分け:ボランティアが状態をチェック(約30%がリユース不可)
- 再商品化:
- 衣類:古着業者へ(1kgあたり50円で買取)
- 絵本:図書館や児童施設へ寄贈
- 寄付:売却益を「青少年健全育成団体」へ分配
- 報告:年1回、市公式サイトで実績公開
2024年度実績:
- 回収量:衣類3.2トン・絵本850冊
- 寄付先:野外活動団体「ネイチャーキッズ」など5団体
- CO2削減効果:6.4トン(杉の木460本分)
知っておくべき5つのポイント
- 郵送不可:直接児童会館へ持参が必要
- 季節物需要:9月の衣替え時期と4月の進級時期が最多搬入
- 国際貢献:状態不良品は東南アジアへ輸出(2024年:ベトナムへ0.8トン)
- データ消去:絵本の個人情報(落書き等)は消去作業を実施
- 税制優遇:領収書発行可能(確定申告で寄付金控除対象)
環境と社会へのダブルインパクト
ごみ削減効果
- 子ども服1kgのリサイクルで、水の消費量を7,000リットル削減
- 年間回収量3.2トン=石油1,280リットルの節約(新品生産比較)
社会貢献事例
- 野外教育:経済的に困難な家庭の子どもが自然体験
- 読書推進:児童養護施設に絵本棚を設置
- 防災支援:災害時用子ども服ストックを自治体へ提供
歴史的雑学
江戸時代の北海道では「ゆい」と呼ばれる相互扶助制度があり、着物の再利用が一般的でした。福服ギフトはこの伝統を現代版にアレンジしたもので、2019年に「第8回札幌環境賞」を受賞しています。
よくある質問
Q. 大人服は受け付けない?
A. 現状は子ども専用ですが、検討中の「アダルト版」プロジェクトあり(2026年開始予定)
Q. シミが少しある服は?
A. 目立たない部分なら可。ただし黄ばみや破れは不可です。
Q. 企業の大量寄付は?
A. 事前に福服ギフト事務局(011-671-4121)へ相談。企業CSRとして認定書を発行します。
「福服ギフト」は、家庭の不用品が社会の宝に変わる仕組みです。子どもの成長は早く、すぐにサイズアウトする服やおもちゃ。捨てる前に「再利用」の選択肢を考えてみませんか?あなたの1着が、誰かの笑顔と持続可能な未来を創ります。
問い合わせ先
福服ギフト実行委員会事務局
札幌市西区宮の沢1条1丁目1-10(ちえりあ内)
TEL:011-671-4121(平日9:00~17:00)
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