札幌市の清掃工場や破砕工場では、スプレー缶やガスボンベの不適切な処分による火災・爆発事故が多発しています。この記事では、過去の重大事故の教訓から生まれた最新ルールと、市民が守るべきポイントを詳しく解説します。
深刻な事故の実例と教訓
発寒破砕工場の連続爆発(2016年)
9月8日と22日の2度にわたり爆発が発生。工場の稼働停止により、市内のごみ処理に2週間の遅延が生じました。原因はスプレー缶内の残留ガスに破砕機の火花が引火したためです。
長期停止を招いた火災(2013年)
貯留ごみの自然発火により、処理施設が3ヶ月間停止。この事故を機に、可燃物の保管基準が強化されました。
専門用語解説
自然発火:微生物分解による発熱や化学反応で自然に着火する現象。オイルが染みた布などが原因となります。
危険物の分類と処分方法(2025年最新版)
危険物種別 | 処分方法 | 注意ポイント |
---|---|---|
スプレー缶 | 中身を使い切り穴を開けず、透明袋で「燃やせるごみ」の日に排出 | 整髪料缶はノズルを外さない |
カセットボンベ | ガス抜き器具を使用後、透明袋で「びん・缶」日に排出 | キャンプ用品店で無料回収可 |
リチウム電池 | 絶縁処理後、区役所の回収BOXへ | スマホ電池は販売店が義務回収 |
プロパンガスボンベ | 北海道LPガス協会(011-812-6414)へ連絡 | 家庭用20kgボンベは有料処分 |
使い捨てライター | ガス抜き後、透明袋で「燃やせないごみ」へ | 100円ライターでも爆発力はTNT火薬1g相当 |
知っておくべき新ルール
スプレー缶排出の変更点
- 2017年7月以前:穴開けが義務
- 2025年現在:完全使用を前提に穴開け不要
- 背景:穴開け作業中の事故防止のため
筒型乾電池の分別強化
- 2021年10月より:専用回収日に透明袋で排出
- 対象外:ボタン電池・充電式電池(家電量販店回収BOXへ)
火災予防のための実践テクニック
スプレー缶完全使用のコツ
- 逆さにしてノズルを押し、ガス抜きキャップを活用
- 廃棄前に2日間風通しの良い場所で保管
- 金属探知機付きごみ箱(市内50ヶ所設置)を活用
リチウム電池の安全処理
- 絶縁方法:端子をテープで覆う
- 保管容器:金属製缶(火災拡大防止)
- 緊急時:発熱した電池は水に浸さず砂で覆う
驚きのリサイクル事例
- 爆発したスプレー缶→ 新幹線の車輪軸受(再生アルミ利用)
- 回収ガス→ 燃料電池発電所の水素原料(苫小牧プラントで実証中)
- 焼損ごみ→ セメント原料(灰のカルシウム分を活用)
歴史から学ぶ安全管理
1950年代、札幌市内のごみ集積場では野焼きが常態化し、ダイオキシン問題を引き起こしました。1980年代の規制強化で直接焼却が禁止され、現在の安全基準が確立されました。
よくある質問
Q. 中身不明のスプレー缶はどうする?
A. 各清掃事務所で無料診断(中央区:011-531-3481)。特殊ガスは専門業者が対応。
Q. キャンプ用ガスボンベの処分方法は?
A. メーカー直送回収(例:イワタン「エコ戻しシステム」)を利用。郵送料金のみ負担。
Q. 電子タバコのバッテリー火災対策は?
A. 充電式は「小型家電」、使い切り式は「燃やせないごみ」で分別。衝撃を与えないよう注意。
札幌市のごみ処理施設火災は、市民の適切な分別で90%予防可能です。過去の教訓を活かし、未来の安全を築くために、今日から実践できる対策を始めましょう。
問い合わせ先
札幌市環境局危機管理課:011-211-2879
緊急ホットライン:0120-111-489
関連リンク
リチウム電池回収マップ