札幌市では、家庭で生成した生ごみ堆肥の無料回収サービスを提供しています。この制度は「さっぽろスリムネット」が運営し、市民・事業者・行政が協働でごみ減量を推進する取り組みです。回収された堆肥は農業用に二次加工されて市内農地で活用されています。
専門用語解説
二次処理:回収後の堆肥に発酵促進剤を添加し、病原菌や雑草種子を除去する工程。圃場で安全に使用できる品質に調整します。
さっぽろスリムネット:ごみ減量を目的に2001年に発足した官民連携組織。生ごみ堆肥化講座やリユース推進など多角的な活動を展開。
回収制度の特徴
- 対応容器:ダンボール式・トートバッグ型・電動処理機の全方式
- 特典制度:堆肥提出で地元農産物と交換可能な引換券を配布
- 活用実績:2024年度は82トンを回収、10haの農地で施用
回収拠点と受入条件
主要施設一覧
施設名 | 所在地 | 受入時間 | 定休日 |
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中央地区 | 南区30条西8丁目 | 10-15時 | 無休(年末年始除く) |
北地区 | 北区あいの里2条 | 10-16時 | 月曜休(祝日順延) |
厚別地区 | 厚別東3条 | 10-16時 | 月曜休(祝日順延) |
西地区 | 西区二十四軒4条 | 10-16時 | 月曜休(祝日順延) |
提出時の必須条件
- 密閉処理:袋の口を二重縛りorテープ固定
- 容量制限:1回20kgまで(重量超過時は複数回に分納)
- 成分規制:化学物質(塩分・洗剤等)混入禁止
- 臭気管理:腐敗臭の発生した堆肥は受付不可
知って得する堆肥化の科学
微生物の働き
堆肥化は好気性微生物による有機物分解プロセス。適切な水分(50-60%)とC/N比(25-30)が成功の鍵。酸素供給のため、週2回の撹拌が推奨されます。
温度変化の目安
- 初期(1-3日):40℃(中温菌活性化)
- 発酵期(4-10日):60-70℃(高温菌が病原体を死滅)
- 熟成期(2ヶ月):常温(放線菌が芳香成分生成)
歴史的豆知識
江戸時代の札幌では、ニシン粕を堆肥化する「鰊肥」が主要肥料でした。明治期の開拓使による「肥料改良方針」が、現在の堆肥文化の礎となっています。
実践者のためのQ&A
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柑橘類の皮は堆肥化可能?
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可能ですが、リモネン成分が多いため5%以下に制限。ミカン1個分/10kgが目安。
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冬期の堆肥管理は?
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ダンボール箱を発泡スチロールで囲い、バスタオルを巻いて保温。微生物活性を維持できます。
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虫が発生した場合の対処法は?
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米ぬかを追加し温度上昇。60℃を3日間維持すれば幼虫は死滅します。
環境効果の数値化
1家庭(月5kg堆肥化で):
- CO2削減:12.5kg(杉の木1本の月間吸収量)
- 節水効果:750L(水道代約300円相当)
- 肥料代替:化学肥料500g分
農業現場での活用事例
回収堆肥を使用した「さっぽろエコ農産物」認証制度が2023年に始動。現在28農家が参加し、堆肥を使ったジャガイモやカボチャを市内スーパーで販売しています。
参加までの3ステップ
- 堆肥化容器を購入(補助金制度あり)
- 2-3ヶ月かけて生ごみを分解
- 指定拠点へ持参(野菜引換券GET)
この取り組みは、家庭ごみの約40%を占める生ごみの削減に効果的です。堆肥化作業を通じて、食品ロス問題への意識改革も期待できます。まずは小さなバケツ1杯から、循環型社会への参加を始めてみませんか?
問い合わせ先
さっぽろスリムネット事務局
011-211-2879(平日8:45~17:15)
関連情報
エコ農産物マップ