前編に引き続き、廃食油が「バイオディーゼル燃料(BDF)」に生まれ変わる工程や、市民がより深く関わる方法をご紹介します。キッチンから始まるサステナブルな循環の全貌に迫ります!

BDF燃料ができるまで:7つの工程

1. 前処理フィルター

回収された廃油を150メッシュのフィルターでろ過。揚げカスや焦げつきを除去します。

豆知識:フィルター1枚で約500Lの油を処理可能。ろ過後のカスは堆肥化されます。

2. 水分分離タンク

遠心分離機で水分を除去。油の純度を98%以上に高めます。

3. メタノール混合

油1Lに対しメタノール200mlを混合。反応促進剤を添加します。

4. エステル交換反応

60℃に加熱しながら攪拌。脂肪酸メチルエステル(BDF原料)を生成。

5. グリセリン分離

24時間静置後、下部に沈殿したグリセリンを回収。化粧品原料として再利用されます。

6. 洗浄工程

温水で不純物を洗浄。中性洗剤を使わないため排水処理が不要です。

7. 脱水精製

真空脱水装置で水分を0.1%以下に。JIS規格(K2209)を満たす燃料が完成。

市民参加プロジェクト3選

1. 廃油回収量ランキング

各区の回収量を可視化。2023年度は白石区が2年連続1位(年間3.2トン)を獲得しました。

2. 廃油アートコンテスト

廃油を原料にしたエコ塗料で絵画制作。優秀作品は地下歩行空間に展示されます。

3. 燃料体験ツアー

BDF燃料で運行する「エコバス」に無料乗車可能。月1回運行(要予約)。

DIY講座:廃油で作る手洗い石鹸

材料(約500ml分)

  • 廃食油 200ml
  • 水 100ml
  • 苛性ソーダ 35g
  • エッセンシャルオイル(お好みで)

作り方

  1. 耐熱容器に水を入れ、苛性ソーダを溶かす(40℃以下)
  2. 廃油を60℃に温め、①をゆっくり混ぜる
  3. トロリとなるまで15分間混ぜ続ける
  4. 型に流し込み、1ヶ月熟成

注意:苛性ソーダは劇物。ゴーグル・手袋必須。子供の手の届かない場所で作業。

環境影響データ

指標BDF燃料軽油削減率
CO2排出量0.75kg/L2.68kg/L72%
粒子状物質0.02g/km0.18g/km89%
硫黄酸化物0ppm10ppm100%

※札幌市環境科学研究所2023年データ

全国自治体比較

自治体回収量(t/年)特徴
札幌市120スーパー連携型
京都市180給食センター併用
福岡市90家庭用凝固剤配布
横浜市150燃料補助金制度

今後の展開

2025年度から新たに開始予定の取り組み:

  • デポジット制度:回収容器返却でWAONポイント還元
  • モバイル回収:宅配便の逆便利用
  • 学校連携:環境教育教材の配布

よくある質問

BDF燃料のにおいは?

天ぷら油由来のため、揚げ物のような香りがします。排ガスのにおいが軽油より約60%マイルドという調査結果があります。

自家用車で使える?

ディーゼル車なら可能ですが、メーカー保証外となる場合あり。市販はしていないため、清掃車両などで体験可能です。

廃食油のリサイクルは、家庭から社会を変える最も身近なエコ活動です。札幌市の先進的な取り組みに参加しながら、持続可能な未来を一緒に創りましょう!